
「今日は暑いから大丈夫だろう」――そう思って出かけた登山で、寒さに震え、行動不能になる人が毎年後を絶ちません。
天気予報が「晴れ」でも、標高が上がれば気温は下がり、風は冷たくなります。
防寒着を持っていなかったばかりに、低体温で動けなくなってしまう――そんな登山者の事例を紹介しながら、「なぜ暑い日こそ防寒着が必要なのか」を解説していきます。
「今日は暑いって言ってたから」――そう思って出かけた登山で
ある女性登山者は、天気予報で「気温高め」「晴れ」の情報を見て、Tシャツと短パンだけの軽装で山に入った。
登山道の入り口では確かに暑かったが、標高を上げるごとに風が冷たくなり、次第に寒気を感じ始める。
雨こそ降らなかったものの、稜線に出た途端、風が強く、低体温を訴えて行動不能に。
結果的に、同行者の防寒着を借りて何とか下山したが、あと少し風が強ければ、救助要請が必要な状況だった。

山の天気も勉強しよう。
登山における「暑い日」ほど、実は危険
「晴れてるから大丈夫」「今日は暑いって言ってた」
この油断が、防寒対策を省く最大の原因になる。
だが山は平地とは違い、標高が100m上がるごとに約0.6℃気温が下がる。
1,000mの高低差を登るだけで、気温は6℃近くも変化するのだ。
また、天気予報が「登山口の天気」であることを理解していない人も多い。
山頂や稜線の気温・風速は、予報のそれとは別物。
さらに、風速1mで体感温度は1℃以上下がるため、「気温20℃・風速10m」であれば体感10℃以下ということも十分あり得る。
“暑くても、防寒着”という矛盾のすすめ
登山では、「暑くても防寒着を持つ」が正解。
たとえ使わなくても、使う可能性を残すことが命を守る判断になる。
軽量なインサレーション(中綿ジャケット)や、ドライインナー、防風性の高いレインウェアがこれに当たる。

濡れても皮膚をドライに保つ製品もある
「暑くて邪魔になるかもしれない」よりも、「寒さで動けなくなるかもしれない」リスクの方が深刻。
特にトレイルランナーやファストパッキングをする人は、常に風と気温の急変を想定した装備選びが求められる。
持っておきたい防寒装備
- ウインドシェル(防風用)
- インサレーション(中綿ジャケット/ダウン or 化繊)

↑インサレーションベストもオススメ↑
- レインウェア(防風・防寒としても兼用)
- ネックゲイター/ビーニー/グローブ
まとめ:使わなかった=よかった防寒着
山の防寒着は、「使わなかったからいらなかった」ではなく、「使う事態にならなかったからこそ価値がある」という存在です。
Tシャツ短パンでも登れた日は、運がよかっただけ。
天気に油断しない、標高差を甘く見ない、防寒着を持って出かける――
これらの行動が、あなた自身の安全と安心につながります。